金曜日の花火

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後ろから、覚えのある声が聞こえた。 振り返ると、 酔いが急に冷めていった。 「…はい。ありがとうございます」 下を向いて、室井樹に言葉を返す。 「顔、赤いけど大丈夫?」 「…はい、大丈」 「大丈夫じゃなさそうだから、送るよ。鞄取ってくるからここで待ってて」 「は?」 顔を上げると、室井樹の背中がずんずんと進んでいた。 酔いは冷めていたし、声を上げる事は出来た。 なのに、 私は、その場に突っ立ったままで、 小さくなる背中を見ていただけだった。
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