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後ろから、覚えのある声が聞こえた。
振り返ると、
酔いが急に冷めていった。
「…はい。ありがとうございます」
下を向いて、室井樹に言葉を返す。
「顔、赤いけど大丈夫?」
「…はい、大丈」
「大丈夫じゃなさそうだから、送るよ。鞄取ってくるからここで待ってて」
「は?」
顔を上げると、室井樹の背中がずんずんと進んでいた。
酔いは冷めていたし、声を上げる事は出来た。
なのに、
私は、その場に突っ立ったままで、
小さくなる背中を見ていただけだった。
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