金曜日の花火

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その質問は、唐突すぎて答えれなかった。 「なんで?」 なんでと、 聞きたいのはこっちだ。 なぜそんな質問をするのか、逆に聞きたい。 でも、どう話を切り出せばいいか分からなくて 窓の外に顔を向け黙っていると、 私の家の最寄駅が見えてきた。 「…答えるまで、帰さない」 「…え?」 私を乗せた車は、 駅を通り過ぎ、どこかへと走っていく。 行く先を言わない室井樹は、無言で前を向き、 私は、制止の言葉を吐かなかった。
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