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アルコールが残っている頭で、
今の状況を考えるのは難しすぎる。
だから、
目の前に広がる、夢の中で見た様な景色が、
綺麗だと思うしか出来ない。
「花火、見たい?」
「え?」
海の上の道路を下りた時、
室井樹はやっと口を開いた。
「見に行こうか」
「…はい」
車は海に沿って進み、
こんな夜中には初めての、覚えのある場所へ到着した。
「寒いけど、外出ようか」
駐車場にぽつんと車を停め、室井樹が言った。
私は促されるまま車を降り、
さっきより大きく見える背中についていく。
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