金曜日の花火

9/24
前へ
/39ページ
次へ
アルコールが残っている頭で、 今の状況を考えるのは難しすぎる。 だから、 目の前に広がる、夢の中で見た様な景色が、 綺麗だと思うしか出来ない。 「花火、見たい?」 「え?」 海の上の道路を下りた時、 室井樹はやっと口を開いた。 「見に行こうか」 「…はい」 車は海に沿って進み、 こんな夜中には初めての、覚えのある場所へ到着した。 「寒いけど、外出ようか」 駐車場にぽつんと車を停め、室井樹が言った。 私は促されるまま車を降り、 さっきより大きく見える背中についていく。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加