第53話 【四凶《しきょう》 アカギ】

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    「ルッチが、泣いている」 うすぐらい母屋(おもや)に、黒衣(こくい)のおんながひとり。 (あずま)の空から、なにかがふわふわと飛んでくる。 ―――カエルだ。 カエルの目頭が熱くなっている。そっとおんなの腕に乗って抱きついた。 「ルッチ、ごめんね、コワいおもいさせちゃったね」 おんなは、鈴をころがすような澄んだ声で、カエルの頭をすりすりとなでた。 「あのおじいさん。やるんだね」 もうすこし、計画練り直したほうがいいのかも。 母屋を出ると、盛りあがった土を一瞥(いちべつ)した。 「ごめんね、ひでり神さん。でもあなたのおかげで、すこーし、わかったよ」 土には、ひでり神の杖(つえ)が、突きたててあった。 「ルッチ、食べた“もの”って、吐き出せないんだよね」 カエルは肩にのりながら、澄んだひとみで、ずっとおんなをみていた。 ―――消化(しょうか)しちゃうもんね、ダメだよね。 おんなはため息をひとつし、深い森の奥へと消えていった。  
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