第53話 【四凶《しきょう》 アカギ】

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    ◆   ◆   ◆ 妖界―――【悟倫塔(ごりんとう)】。 そびえたつ塔の頂上。 妖界では名の通った3体の『大妖怪』と、ひとりの『ニンゲン』が雁首(がんくび)をそろえていた。 「アカギの島が、なにやら騒がしかったようじゃのう。あそこには怨呂血(オロチ)の嫡男“ウワバミ”とかいう小僧が、預けられておると聞くが」 眉根を寄せる巨大なタヌキ。 “四国松山藩(シコクマツヤマはん)”かの八百八狸(はっぴゃくやだぬき)を統率する『隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)』である。 「オロチだかなんだかしらんが――――クチナシ島は、島自体が“金のなる木”。あれに支障を来たせば、わしら国家にも影響がまわる」 『ニンゲン』の正体は、世界政府の役人である。 「仮に『反乱因子』が、島のバランスを妨げるようなことがあれば、事実関係をきっちり吟味(ぎんみ)したうえで、早急に我が権力を行使する」 ぶよぶよと太ったからだ。光る丸メガネとハゲ頭。 そして右半面をおおう『瘡(カサ)』。 瘡が、ぐよぐよと嗤(わら)った。 人界では、ヤツを『闇の権力者』、『影の黒幕』と呼び、【フィクサーx】という異名もある。  
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