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「彼氏、完全に疑ってるな…」
和馬は、青く点滅を繰り返す私の携帯を見つめ顔をしかめた。
翔太はメールを打つ代わりに、2、3分おきにひたすら電話を鳴らし続けていた。
暗闇の車内では、携帯が翔太からの着信を知らせ光を放つ。
瑠美…早く連絡して来てよ!
どこの店にいるの!!
私は髪を掴む様に頭を抱え、すがる思いで後輩からの連絡を待ち続ける。
翔太からの着信を示す青の光が途切れた瞬間、ピンクの光の点滅に変わった。
瑠美っ!
私は急いで携帯を取り、後輩の名前を確認する。
「もしもし瑠美?今どこにいる?私も今からそっちに行きたいんだけど!」
焦る気持ちが口調を強める。
「先輩―、もっと早く言ってくださいよぉー。まだ金山ですけど、今から解散ですよー」
電話の向こうで、酔いの回った後輩が上機嫌な声でケラケラと笑う。
「金山にいるんだね!今からは?どこに移動?」
「一部の人達は、手羽先食べたいって高架下の『山ちゃん』に向かって歩いてますよ。後は、栄や八事に移るみたいですけどー」
栄…
翔太がいる栄には近づけない。
八事…
今、八事から急いで戻って来てるのに…。
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