悪夢の始まり

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「二次会、今回はやめとく。これから行く所があるから」 ミチルの誘いを予想していた私は、「ごめんね」と首を軽く傾げた。 「えぇ~!?二次会来ないの?毎年ラウンジで飲むの楽しみにしてる綾子なのに…何で?忘年会の夜に入れる用事って何?どこに行くの?」 酒の勢いに任せ、想像していた以上に絡むミチル。 「…実は、翔太と前から約束しててさ。本当にごめん!今度は唯がいる時に三人で飲みに行こうよ。ねっ!」   「ふぅーん、翔ちゃんねー。綾子が職場の宴会や親友の誘いより、彼氏を取るとはねー・・・珍しいじゃん」 ミチルは子供が拗ねたように、ぷくっと膨れ顔を見せる。 ミチルから逃れるため、咄嗟に口から出た翔太の名前。 相手は違っても、結局は男に会うための嘘。 しかも、相手は和馬。 和馬と切れない限り、私はこれからも大切な者ばかりに嘘をつき続けるんだ・・・。 「そうだよね、珍しいよね、でも本当に今日はごめん」 ミチルがずっと楽しみにしていた事を知っているだけに、申し訳ない思いが胸を締め付ける。 「もぉー、仕方ないから許してあげる。この後、面白い事が起きたら後で教えてあげるね」 ミチルは、私の肩をぽんぽんと叩きながらにやけ顔を見せる。 「ミチルがはめ外し過ぎて、面白い噂の種にならないようにね」 彼女の表情を見つめ、ほっと胸を撫で下ろした。
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