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私はロビーでミチルを見送った後、ラウンジやその他の場所に移動する人達に紛れホテルを出た。
アルコールで火照った体に、冷たいはずの夜風が気持ち良く感じられる。
私はひと気のない植木の側まで行き、急いで携帯を取り出した。
【ホテルから一本裏道にあるセブンイレブンの駐車場で待ってる】
一足先に会場を抜け出した和馬からのメール。
宴会中も和馬の姿を目で追い、「早く二人きりになりたい」そう願う胸の高鳴りは、最高潮に達していた。
「和馬・・・」
携帯の文字を見つめ、自然と恥ずかしい程の笑みが零れる。
そして、携帯を真っ白なコートのポケットに突っ込むと、周りを気にしながらホテルの階段をかけ下りた。
・・・・・・・
病院から車で30分ほど走った、高台に建つ名の知れたホテル。
辺りにビルも民家も無く、森林に囲まれた静かなこのホテルが私達の身を寄せる場所。
木々に飾られたクリスマスイルミネーションが、静かな夜の空気に溶けキラキラと輝いて見えた。
「今日は何時までに寮に戻れば良い?」
腕枕をする和馬が、乱れた私の髪を優しく撫でる。
「ん・・・朝帰りになるかもとは言っておいたから日が昇るまでに帰ればいいや。和馬が帰らなきゃいけない時間まで、少しでも一緒にいたい・・・」
抱き合った余韻に浸りながら、彼の胸に頬を寄せた。
「俺も今日は朝方までいられる様にして来た。病院全体の忘年会だから、朝帰りだと思ってるよ」
和馬は、私の頭を優しく撫でる。
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