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悲鳴が聞こえた場所へ向かっていると、遠くの方に人影が見えた、30人位の人影が馬車を取り囲んでおり、そのうち3人は馬車を守っている様に見える。
「あれは……まさかテンプレってやつか?」
だとしたら馬車を守っている3人以外は盗賊か、そうじゃなくても馬車を襲っている時点で似たようなものだ。
シズクは速度を上げてものの数秒で馬車の近くまで移動する。
「!?なんだテメェは!!」
盗賊の一人がこちらに気づく。
「悲鳴を聞いて駆けつけて来たんだけど、どんな状況?」
「へへっ、見て分かんないか?」
「ってことは見たまんまの状況ってわけか……。」
「わざわざ首突っ込んで来るなんて、バカな嬢ちゃんだなぁ?知らねえフリしてたら助かったかも知れねのにな、まぁ逃がさねぇけどな!」
「それにしても、すげぇ別嬪さんだなぁ!」
「奴隷にして売ればすげぇ値がつくぜ!」
「その前に俺たちで楽しもうぜ!多少値は落ちるけど、こんな上玉なかなか相手に出来ねぇよ!」
目の前でゲスな会話をしている盗賊達だが、シズクは何も喋らなくなった。
「そこの君!早く逃げるんだ!」
「私達のことは気にしないでくれ!」
「おっと!少し黙ってな…じゃないと、あの嬢ちゃんをひどい目にあわせるぞ?」
「ぐっ!卑劣な…!」
盗賊と騎士の様な格好をした3人がそんなやり取りをしていると…。
「お待ち下さい!」
馬車の扉が開いて一人の女性が降りてきた。
「姫様!ダメです!早く中へ!!」
「良いのです!」
そう言って盗賊の方へ歩いていく。
「私があなた方の奴隷にでも何にでもなります、ですからこれ以上この方達に危害を加えないで下さい!」
「何を言っているのですか!」
「もう良いのです!…これ以上私のせいで誰かが傷つくのを、見たくないのです。」
「姫様……。」
その姫様は、シズクと同い年位でハニーゴールドの腰まで届く髪、桃色のドレスを着ておりバランスの良い体つきをしている。
「良い心がけだな?」
「でしたら「だが!」!?」
「あんた以外を殺してからあの嬢ちゃん共々捕らえた方が手っ取り早いだろぅ?」
「そんな!?」
「残念だったなぁ?姫様ぁ!」
「くっ!」
「姫様!私たちの後ろに!」
一足触発、まさに戦いが始まろうとしたその時。
ズドン!!
「「「「!?」」」」
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