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「これで最後だな。」
騎士が盗賊の最後の一人を馬車の荷台に乗せる。
「それにしても、すごい縛り方だな…。」
なぜか盗賊達はシズクによって亀甲縛りにされていた、おそらく目が覚めても解く事は出来ないだろう。
「これなら逃げられる心配も無いだろう、刃物は全部アイテムボックスに入れてるし、街はもうすぐそこだから目が覚めた頃には牢屋だな。」
「体術だけでなく魔法まで出来るとは…。」
「しかも空間魔法なんてすごいです!」
「空間魔法?」
「ご存知無いのですか?」
「ちょっと事情があって常識をあんまり知らないんだ。」
「そうなのですか?」
「うん、まだ誰にも教わった事無いから。」
「「「「!」」」」
マリーと騎士達は、『もしかして、幼くして両親を失ったのでは…』と考えた、間違ってはいないが勘違いである。
「シズク様!」
「ん?」
「私が、私達がシズク様にお教えします!」
「「「我々にお任せください!」」」
「おっおう、ありがとう。」
マリー達の熱量に押されるシズクであった。
「ところでマリー。」
「何でしょう?」
「俺も敬語やめたんだから、マリーももっと砕けた喋り方で良いよ?」
「え!?し、しかし、シズク様…」
「シズクで良いよ、友達みたいに……というか、友達になってくれると嬉しいな。」
「友達…//」
「ダメかな?」
「そんな事はありません!…でも、私で良いのですか?」
「?」
「私はこの国、ハイリーン王国の王家長女、マリアンナ・ハイリーン、王国では…『無能才女』と国民に噂されています。」
「『無能才女』…。」
「私は生まれつき魔力量が高く、10才まで父である国王や沢山の貴族、国民から期待されて居たのです、そして、私もその期待に答えたくて魔法の練習も勉強も沢山していました。」
しかし…、と区切りを入れる。
「どれだけ練習しても、私は魔法が使えなかったのです…。」
「……。」
魔法が使えない、それがこの世界の王族にとってどれだけ深刻なことなのか、それはマリーのつらそうな顔を見ていれば多少理解できた。
「お父様とお母様は今でも優しいままですが、期待を失い貴族達からは疎まれる様になってしまいました。」
「……。」
「同年代の貴族の子供には魔法が使えないことを陰で笑われていることも有ります、こんな情けない私と居ると、録な目に合いませんよ!」
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