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平凡な高校生でありたい雨之 雫(あめの しずく)は、その名前と容姿から、よく女性と間違えられていた。
名前は、適当な性格の父が、容姿は、美容院に勤めている母が。
父は病院で生まれた雫を見て、1.5秒で決めたらしい。後から男の子だと言われても変えなかったとか。
母はせっかく可愛く生まれたのだからと、小学校一年生から女の子の格好をさせていた。
雫は運動が好きな父につきあわされて、朝からランニングしたりしていたので、全く無駄のない引き締まった体で、黒髪は背中を隠すぐらいで、目も髪と同じ黒、落ち着いた性格で、女顔でつり目なのもあって、『クールな美少女』と、校内で人気だった。
そんな雫が、自身の見た目が普通じゃないと確信したのは小学校五年生の頃だった。
さすがにおかしいと考えた雫は、髪を切ろうとすると、母に止められた、土下座で。
結局雫は、服を男物にする事しかできないまま、中学生、高校生と成長した。
高校生になった雫は、数えるのも面倒になってきた、『性別を言うと驚かれる』という毎年恒例の自己紹介を一ヶ月前に済ませて、最早作業と言うような感じで『男子生徒からの告白』を断って帰路についていた。
寄り道する事なく家に帰っていると、なんの前触れもなく視界が暗転した。
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