第1話

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そうだった! 「………ここは何処ですか?」 『ここはミルドロット、お主のいた世界で言うところの異世界じゃ。』 「何で俺はここに居るんだ?」 『………驚かんのか?』 「驚いてるけど………あんたの言うことしか情報がないんだから聞けること聞いとかないと。」 『ふむ、あいつのいった通りらしいな………。』 あいつって誰だ? ま、いっか 「それより早く答えてくれ。」 『お主は、今までいた世界が自分に「合ってない」と、思ったことがないか?』 「…………」 『あったんだな、………実際に合ってないんじゃ。』 雫は、子供の頃から少し異常だった。 父のマラソンに初めて付き合ったら父と同じ速さで町内を一周走りきった、五才で。 小学一年生の時の知識量は中学生レベルだった。 他にもあるが、今は重要じゃない。 「それで、どうして俺はここに居るんだ、はっきり言ってくれ。」 『神々の手違い。』 「…………………はっ?」 『お主は本来この世界に生まれるべきだったが、先の理由で一つ下の世界に生まれてしまった。』 「………だからこの世界に連れてこられた?」 『実はそれだけではない、お主の成長速度が一番の問題だ。』 「…………」 『これが理由じゃ、そしてお主には悪いが、これからこの世界で暮らしてもらう。』 「……………」 『地球ではお主は行方不明と言うことになったそうだ。』 「……………」 『………本当に、すまぬ。』 「……………」 姿は見えないが、本当に悪いと思っていることが伝わってくる。 「………わかった…」 『……ありがとう。』 「いいんだ、自分の異常さは俺が一番分かってる。」 家族と友達に会えないのは悲しいが、考えても仕方ない。 「この世界で生きるのも楽しそうだ。」 『そうか………この世界の説明に入ってよいか?』 「あぁ。」
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