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「さて、あまり時間を掛けては日が暮れてしまうのぅ。」
「もう送るのか?」
「もっと話して居たかったが、仕方ないじゃろう。」
少し名残惜しそうにして言う。
まもなくシズクの、異世界の生活が始まるのだろう。
その前に…
「頼みがあるんだけど…両親と師匠達に伝言を頼んで良いか?」
「伝言?」
「『俺は無事だよ』と『いつか会いに行くよ』って伝えて欲しいんだ。」
「…必ず伝えよう!」
これでやっと未練が無くなった、これから俺は異世界の住人になる。
「今後わしはシズクのサポートに付く、会える事も少ないが念じてくれれば声を届けることは出来る、困ったら何時でも読んでよいぞ!」
「わかった、困っときはそうする。」
「…うーむ。」
「どうした?」
「緊張してる様じゃな。」
そうなのだろうか…よく考えれば、知らない世界で、知ってる人の居ない場所、知らない文化、見たこと無い生き物まで居る、そんな世界のことを考えると少し不安になる。
「そうみたいだ、なんだかんだ緊張してる。」
「なら…」
気づいたらナギの顔が目一杯に広がっていた。
「餞別じゃ!」
「……」
「どうしたのじゃ?」
「えっ、なん、ちょ、おまっ、………はぁ!!??」
「うお!…なんじゃ一体。」
「なんでキスしたんだ!?」
「餞別じゃと言ったじゃろう?」
「初めてだったんだぞ!//」(錯乱中)
「わしもじゃ//」(いつもどうり)
「母さんにもされたこと無いのに!//」(混乱中)
「嬉しいのじゃ//」(平常心)
「うわーん!//」(悲しい)
「わーい!//」(嬉しい)
──10分後──
「落ち着いたのじゃ!」
「お嫁にいけない…//」
まだだった
──5分後──
「シズクは以外とうぶなのじゃな!」
「ナギのせいだろ…!」
「まあ良いではないか、緊張も解れたろう?」
「まあ、その代わり混乱したけどな。」
「そろそろ送るぞ!」
「よろしく頼むよ」
色々台無しだが、おかげで大丈夫な気がしてきた。
「ナギ、またな!」
「ああ、またの!」
シズクの体が光に包まれ、また草原に戻される。
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