第1話

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「さて、あまり時間を掛けては日が暮れてしまうのぅ。」 「もう送るのか?」 「もっと話して居たかったが、仕方ないじゃろう。」 少し名残惜しそうにして言う。 まもなくシズクの、異世界の生活が始まるのだろう。 その前に… 「頼みがあるんだけど…両親と師匠達に伝言を頼んで良いか?」 「伝言?」 「『俺は無事だよ』と『いつか会いに行くよ』って伝えて欲しいんだ。」 「…必ず伝えよう!」 これでやっと未練が無くなった、これから俺は異世界の住人になる。 「今後わしはシズクのサポートに付く、会える事も少ないが念じてくれれば声を届けることは出来る、困ったら何時でも読んでよいぞ!」 「わかった、困っときはそうする。」 「…うーむ。」 「どうした?」 「緊張してる様じゃな。」 そうなのだろうか…よく考えれば、知らない世界で、知ってる人の居ない場所、知らない文化、見たこと無い生き物まで居る、そんな世界のことを考えると少し不安になる。 「そうみたいだ、なんだかんだ緊張してる。」 「なら…」 気づいたらナギの顔が目一杯に広がっていた。 「餞別じゃ!」 「……」 「どうしたのじゃ?」 「えっ、なん、ちょ、おまっ、………はぁ!!??」 「うお!…なんじゃ一体。」 「なんでキスしたんだ!?」 「餞別じゃと言ったじゃろう?」 「初めてだったんだぞ!//」(錯乱中) 「わしもじゃ//」(いつもどうり) 「母さんにもされたこと無いのに!//」(混乱中) 「嬉しいのじゃ//」(平常心) 「うわーん!//」(悲しい) 「わーい!//」(嬉しい) ──10分後── 「落ち着いたのじゃ!」 「お嫁にいけない…//」 まだだった ──5分後── 「シズクは以外とうぶなのじゃな!」 「ナギのせいだろ…!」 「まあ良いではないか、緊張も解れたろう?」 「まあ、その代わり混乱したけどな。」 「そろそろ送るぞ!」 「よろしく頼むよ」 色々台無しだが、おかげで大丈夫な気がしてきた。 「ナギ、またな!」 「ああ、またの!」 シズクの体が光に包まれ、また草原に戻される。
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