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「っと…戻ってきたな。」
光が収まると、また草原に立っていた。
「んー…、確かに街が見えるけど、結構遠いな。」
ナギに教えてもらった街は、シズクの目でギリギリ見える程度に遠かった。
さらに……
「あれは……魔獣か?」
街の有る方向に魔獣と思われる生き物が居る、見た目は狼だが緑色の体毛が草原に馴染んでいた。
「草原に狼って、コヨーテ位しか知らないぞ…」
見たところ魔獣は群れておらず、周囲に他の生き物も見当たらない。
「肩慣らしにはちょうど良いか、武器も持ってないし素手で戦うしかない、狼と戦うのは良いが問題は魔法か…」
魔獣が魔法を使うかどうかナギに聞くのを忘れていた。
「ある程度警戒しておくか。」
シズクは狼の方へ歩いていく、狼はまだこちらに気づいていないようだ。
残り50メートル位に差し掛かったところでシズクに気付いた、その瞬間シズクは一気に距離を詰める!
「グルルゥ…!」
狼は警戒しているが、シズクはその数瞬で目の前まで迫っていた。
未だに動いていない狼の顎に膝蹴りを叩き込む!
「セアッ!」バキッ
「ギャン!!」
狼は素早い、それは四本足による瞬発力によるもの、膝蹴りによって体の浮いている今ならばそれは関係無い。
「ハッ!」ドコォ!
狼の首もとに全力の打撃を打ち込む、狼は吹き飛んで数メートル先で止まり、そのまま動かなくなった。
「……もう終わりか?」
呆気ない、それがシズクの感想だった。
「もしかして、俺の想像以上にステータス高い?」
五十メートルを一瞬で詰めた時点で違和感は有ったが二手で終わるとは思ってなかった、それどころか、その気になれば一撃で終わらせる事もできた。
「あの狼のステータス、鑑定スキルで見るの忘れてた。」
次に魔獣と会ったら鑑定スキルを使う事にして、狼の死体に近づく。
「一応素材を剥ぎ取っておくか。」
シズクは一度手を合わせて、毛皮や肉を解体していく。
手慣れているのは修行途中に狩を経験していたからだ。
シズクは狼の毛皮で簡単に袋を作り、その中に骨や残った毛皮等を入れ肉や内臓は地面に埋めた。
「さてと、次はどんな魔獣が出て来るかな。」
街はまだ遠い。
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