秋の風物詩。

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「はは、ゴメンゴメン。物足りないのは俺だから。 本当はもっとキスしたいし続きもしたい。瀬名の職場で欲情してる俺のが断然ヤラシイ」 「て、言われましても…」 膨れていた瀬名の頬は、今度はしぼんで一層赤く染まった。 からかわれるのも困りものだが、ストレートに色欲を訴えられる方がよっぽど答えに窮する。 特に水上はそれを平然と、当たり前の事を当たり前に説くように真顔で言うものだから、照れるこっちがおかしいのかと言われた方が自分を疑ってしまうほどだ。 「瀬名はあとどれくらいで仕事終わりそう?」 「三十分あれば確実に出来ると思います」 「じゃあ、終わったら隣のファミレスに来て。店の中で先に待ってるから」 「えっ!!」 立ち上がろうとする水上の腕が掴まれた。 見下ろした水上に、瞳を潤ませながらの乞うような上目遣いが送られる。 瞬間で我に返る瀬名だが、ゴニョゴニョと言葉を濁すだけで引き留めたという事実には変わらない。 「ここで続きシていい、って意味?」 「ちっ違いますっ!! その、また出てきたらって思うと、独りきりだと怖くて…鷹洋さんに置いていかれたら仕事出来ない、とか思っちゃって…。 で、でもやっぱりいいです! 社会人にもなってこんなんじゃ情けないですよね!頑張ります!」 「っていうか、むしろ俺がいた方が仕事出来なくなる気がする」 瀬名がもう一度見上げると、真横に引かれた唇は端が上を向いている。 「俺の理性崩壊寸前だから。そんな目で見上げるの反則」
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