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「ちょっと洗面所行ってくるね」
麻里に告げて宴会場を出て
洗面所の鏡に写る赤い頬を押さえた
『そんな風に見えてるのかな』
自分でも気づかない感情に
戸惑いを感じていた
水をすくって頬を濡らす
火照った顔にそれは気持ちよくて
洗面所から宴会場に戻ろうと廊下を歩いていくと
途中に中庭があるのが見えた
そこはちょっとした庭で
木々に囲まれた小さな池の縁に
木のベンチが見える
ガラス戸を開けて外に出た私は
そのベンチに座った
「ふぅ」
少し寒いけど飲んだ身体には心地よい
たいして飲んでいないけど
ちょっと酔っちゃったかな
上を見上げると
雲一つない空には
満天の星たちがきらめいている
「綺麗!」
今にも落っこちてきそうな星空を眺めながら
しばらくボーッとしていた
『…そうか…わかった!明日帰る』
静かな庭に誰かの声がした
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