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「っていうか使いすぎだと思うよ。マイミルクいるんじゃない?」
「えぇ、牛乳いつも携帯するんですか?水筒とか傷まないでしょうか」
「何で牛乳…いや、そのコーヒーフレッシュでいいでしょ」
「あっ、そうですよね。お店のもあんまり使いすぎると申し訳ないし、今度からそうします」
「本気?」
(仲、いいな…)
まるで漫才の様に掛け合う瀬名と水上に、涼は軽く嫉妬を覚える。
端から見ればどうでもいい会話だが、涼からすれば入り込む余地が無いに等しかった。
席を外している間にぐっと距離が縮まったのか、或いは元から二人の関係はそうなのか。
自分だけが知らない、二人だけの時間を共有しているようで疎外感を感じずにはいられない。
と同時に、水上に対する対抗意識も芽生えつつある。
自分は彼女にとって彼氏でも何でもない、単なる仕事仲間というポジションだ。
二人がどんな関係なのか、先程の光景が意味するものは何なのかはまだ分からない。
それに、今日は初出勤であるにも関わらず、仕事とは無関係の競争心を燃やすのもどうかと思う自分もいる。
けれど、初仕事の取引先の相手だとか、彼の肩書きだとか、仕事関係の情報は一切抜きにして、一人の男性として決して負けたくはない。
水上を越える存在になりたい。
早くもそんな決意を抱く涼である。
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