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アパートの共同階段を下りきったところで、ある重大な事実に気付いた瀬名の足がピタリと止む。
(―――あれ?公衆電話って…どこ?)
近所のコンビニ、には無かった気がする。
ドラッグストアにも、いつも食材を買いに行っている小さなスーパーにも。
普段携帯電話一つで事足りてしまっているだけに、いざ設置してある場所となるとなかなか思い浮かばない。
ましてや今日び、公衆電話は減少する傾向にあるから尚更だ。
(銀行にはないよなぁ、っていうかもう閉まってる時間だし……うーん…
……あっ!)
瀬名の脳裏に、二度目の電球マークが登場する。
(公園だ!公園にある!!)
土曜日に事務所メンバーで涼の歓迎会兼、瀬名の昇進祝いを開いてもらった公園だ。
あの日の帰り際、保志沢の車と星也のバイクを見送った駐車場の脇に設置してあったように思う。
グレーのフレームにガラス張りの公衆電話ボックス。
夜の闇の中、駐車場のライトにぼんやりと照らされていたのが妙な雰囲気で目に止まっていた事を思い出す。
瀬名は公園を目指して駆け出した。
焦って行く必要は全く無いのに気持ちが急いてしまう。
早く会いたい、早く声が聞きたい、ただそれだけの為に。
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