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「…そう、大変だったね」
大手作家と同人ゲームの制作という、折角の恵まれた機会に早々と騒動とは。
彼女らしいと言えば彼女らしい。
が、男嫌いとはいえ社会人でもある沙那が、公共の場でふてぶてしい態度を取り続ける事はまず無い。
相手が同性だろうが異性だろうが、表面上はどちらかといえば聞き上手だ。
それにも関わらずケンカにまで発展してしまったとは、プログラム担当者とよっぽど相性が悪かったのだろうか。
「ヲタは認めるけどシスコンじゃないし!
つか男なんか作る気ないし!彼氏できなくて結構。こっちから願い下げだわ!!」
(…沙那、コワイ…)
独り言にしては随分と大きな声量と迫力に、我が妹ながら恐怖を感じる瀬名。
「お姉ちゃんだってそうだよね?恋愛は興味無いって言ってたよね!?
これからもオタクな趣味に浸かってたいって言ってたよね!?」
「……えっ?いや、あ…えぇと、うん…」
「はぁ、織姫さんはまあまあ優しい金髪男だったのに、あのメガネときたら…」
と、沙那は軽く舌打ちをすると立ち上がる。
「あぁ、もう!!思い出したらまたイライラしてきた!!」
―――ガコンッ
沙那がゴミ箱を蹴り上げた。
ティッシュやお菓子の空き箱、落書きが描かれ丸められたコピー用紙が中から飛び出す。
その中に一つ含まれていたのは、瀬名が目を見張るとある物。
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