明かされた秘密。【後編】

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車はちょうど赤信号に差し掛かり、水上は助手席に座る瀬名の顔を覗き込んだ。 「ひょっとして、その事気にしてた?」 「…すみません。 何か聞いちゃいけない事聞いちゃったような気がしてて…」 んー、と少しの間を置いて、水上は軽く首を傾げる。 「聞いちゃいけない訳じゃないよ。 …ただ、なるべく言わないように癖にしてるというか、 それを言った途端に色眼鏡で見られる事があるから、敢えて自分からは言わないでいるというか…」 あぁ、そういえば―――。 瀬名は津田の言葉を思い出す。 “普通社長の息子っていったら、それなりの立場に就いたりするものだよね。 でも水上は、いわゆる七光りを嫌っててさー。 実力で勝負したいからってヒラからスタートしてるんだよ” それは想像に難い、弛まない努力の日々であったろう。 周囲の反発ややっかみ、伴う壁もきっと多かったに違いない。 だがそれを堅実に乗り越えている事は、水上の名刺に記された『営業課 主任』の文字が如実に表していた。 「まぁ、色眼鏡で見られてしまうのは仕方ないんだけどね。見るなというのが無理な話だし。 でもわざわざ自分から主張する事じゃないかなって」 「そうだったんですか…」
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