恋する気持ちが知りたくて。

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*** 自分のデスクへと戻った涼は、呆れを込めた溜め息を一つ漏らす。 休憩室にはあやのと、そして瀬名。 その面子で居続ける事に気恥ずかしさと気まずさの入り交じる居心地の悪さを感じた涼は、逃げるが如くその場から立ち去っていた。 (だから中学生かっての) 相変わらずな己の行動の幼さに、彼は机上に伏せ頭を抱える。 「あの…涼さん」 遠慮がちに自分の名を呼ぶ声に気付き顔を上げれば、目の前には瀬名の姿。 「ありがとうございました」 「……え…」 驚きつつも平静を装っていると、瀬名の長い髪がお辞儀をする動作に従いサラリと揺れた。 ほんの僅かな時間、とはいえ涼の瞳は吸い寄せられる様にそれに奪われた。 「クラッカー戴きました。すごく美味しかったです」 「あ、あぁ。 あの店さ、個人経営でWebサイトはまだ持ってないらしいんだ。 スタンプカードの導入も始めたいらしくて。今日は挨拶だけだったけど、近いうちにまた行く予定だから―――…」 と、いつの間にか口から滑り落ちた流暢な言葉の数々に涼は我に返る。 一番の報告は彼女ではなく、上司である保志沢にすべきなのに。
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