それを忌むワケは。

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とりあえず店を出たものの、結局彼のルックスのお陰で出入口でも目立ってしまい。 沙那は再び保志沢の腕を引き、店舗真横の大型トラックも停められる駐車場までやって来た。 (あれ?何で私、保志沢さん引っ張ってきてんだ?別に用事無いんだけどな。 …うん、まぁいいや。まだ家戻りたくないし、時間稼ぎの相手になってもらお) 心の中で保志沢を勝手なポジションに付けて、改めて目の前に立つ彼を見上げる。 薄暗がりの中、店舗から漏れる光が彼の体半分を射し、顔の彫りの深さを一層際立たせる。 自分達を傍から見たら、ホストとその同伴の客みたいな構図なんじゃないか、と沙那は思った。 「今日は一緒じゃないんですね」 「んー、誰の事?」 本気で分からないのか、それともおどけているのか、横髪をかき上げてすました表情で尋ねる保志沢。 言うんじゃなかったと後悔しながら、沙那は口をすぼめて答えを返す。 「…だから、いつも一緒の……堅物メガネ…」 「あはははっ!星也の事?そんなに頻繁にいるように見える? って、否定はしないけどさ。 そういう沙那ちゃんこそ、毎日“お姉ちゃん”と一緒にいるじゃない」 「……っ!!」 普段ならかわせる保志沢のノリが、この瞬間、やけに沙那の気に触れた。 「そりゃ一緒に住んでますけど、別に毎日外でも一緒ってワケじゃないですよ!! それに、たまには一人になりたい時だってあるんですっ!!」 (……あ…しまった…) 矢継ぎ早に強く言い過ぎた。 思わず口を抑えたが、時既に遅し。 気まずそうに俯く沙那を、保志沢は黙して見下ろした。
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