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それも電話で、だ。
事務所に鳴り響いたコール音に先に応対したのはあやので、
「瀬名ちゃん、イズミ建設の薫さんから」
彼女の声にパソコンモニターに集中していた意識は削がれ、保留状態を解除して受話器をとる。
電話機の通話相手の番号を示す液晶モニターは『090』で始まっていた。
「お電話代わりました、北川です」
『お世話になってます、薫です。
一点確認したい事があるんですが宜しいでしょうか』
「あ、はい」
『先程メールでお知らせ頂いた日時でこちらも構わないのですが、弊社にはどの方が見えますか』
確かに、送信したメールは誰が行くかという点は触れていなかった。
だが何故、わざわざその確認を即刻の電話で。
脳裏に過るが、大事な顧客相手にそっくり返すのは憚られるので、疑念は胸にしまい込む。
「保志沢が伺う予定です」
実際、瀬名は単独での営業経験はない。
仮に誰かが同行する形であったとしても、今回の案件はシステム構築の面が強いため、デザイナーの自分ではなくプログラマーの星也の方が相応しい。
『お一人のみ、ですね。
北川さんはいらっしゃらないんですか』
「はい。詳しい者がおりますのでそちらの方が適任かと…」
『そうですか。残念』
「えっ」
思わず上がった声に驚愕を怪訝を乗せてしまった。
ふ、と受話器の向こうで息が漏れ、薫がその色を察して薄く笑ったように瀬名は感じた。
『北川さんとお話ししたかったんです』
「すみません。
操作に関しては先日のように説明出来ますが、内部のシステム面や見積りは私では…」
『個人的に、ですよ』
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