絆か、償いか。

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「ところでお姉ちゃん、明日休みなんだ?」 「うん。名古屋港の花火大会に行こうって、こじれちゃう前に二人で計画してて。 彼も有休取ってくれたから」 「えっ!私も行くつもりなんだけど…。 ………アイツと…」 驚嘆ののち尻すぼみな声になる沙那の可愛らしさに、瀬名の頬が思わず緩んだ。 ようやく瀬名の表情から憂いが消えると、とうとう女子トークのスタートだ。 「そうなんだ。花火の会場で会えたらいいね」 「ヤだよ!お姉ちゃんが仲直り出来るのは嬉しいけど、鉢合わせは気まずい!」 「そっかなぁ。ダブルデートできていいなぁって思ったんだけど。 あ、浴衣着てく?実家から持ってきたのあるよ」 「残念。着たいのはやまやまだけど、バイクだから着れないんだよね」 妹が呟き、瀬名が微笑む。 姉の笑顔を見た沙那も、安堵して微笑んだ。 お互いを尊重しながら、時には茶化しながらの座談会は深夜まで続けられた。 出逢い方、付き合う事になった経緯、彼の性格、愚痴、のろけ。 ありとあらゆる項目を和気藹々と喋り明かした。 それはかつて恋愛の話題が禁じられていたために生じてしまった隙間を、二人で懸命に埋め合うように。 世界でただ一人のきょうだいとの絆を、より深めるように。
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