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「何の話だか分かりません。
質問は要点を押さえて仰って下さらないと」
淡白に答えながら、薫は机上のシャープペンと消しゴムを片付ける。
続いて足元のトートバッグを拾いテキストを仕舞おうとしたが、水上が取り上げ机上に伏せた。
「瀬名をそそのかしただろう。
俺が、本気で付き合っていないと。
本気じゃないから親父の事を隠して、しかも彼女の実家が所有している土地を狙っていると。
君は、一体何を目的に瀬名に吹聴したんだ」
「……へぇ、彼女、お若いのに度胸があるんですね。
私からの『助言』の内容を本人にわざわざ確かめるなんて。
私だったら怖くて出来ません」
水上を一瞥し、語尾を上げて大袈裟に肩を上下させる。
実際は薫の件の詳細を聞いたのは津田からだったが、そんな違いはどうでも良い。
「質問に答えてくれ」
苛立った水上が声を荒げた。
比較的静かな店内に突如落ちた声に、店員の視線が注がれる。
客はほとんど居なかったが、悪目立ちしてはまずいと水上は舌打ちした。
場所を変えた方がいいだろうか。
だがどこで。そしてこの流れも止めたくない。出来るだけ早い決着を。
そう思考を巡らしていると、薫の薄く笑った声が差し込まれた。
「目的だなんて、人聞きが悪いですよ主任。
私は私の使命を全うしようとしてるだけです」
「…使命…?」
水上は眉をひそめ訝しげに問う。
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