絆か、償いか。

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ガチャン! けたたましい高音が響き、瀬名と沙那の肩が跳ね上がった。 泡だらけの瀬名の手から落ちた皿が、シンクの中の別の皿にぶつかったようだ。 幸いにも割れたり欠けたりはないようだが、姉妹の間に微妙な空気が生まれたのは事実である。 言い切ってしまったものの、次に繋げる言葉を用意していなかった沙那が俯いていると。 「驚きすぎて手が滑っちゃった」 食器洗いを終えた瀬名がリビングに戻り、沙那の隣へと腰を下ろした。 「沙那から聞けた事にビックリしちゃって」 「そんなに…?」 「うん。実を言うとね、何となくそうじゃないかなって気がしてたの。 だから、内容そのものはやっぱりって気持ちのが大きいんだけど、沙那から報告してもらえたっていう事実が嬉しくて驚いた感じ」 「……」 「星也さん、だよね?」 沙那はゆっくり頷いた。 知ってたの、とは訊き返すまでもない。 過去の自分を振り返れば、どれだけ分かりやすい態度をとってきたかは瞭然だ。 星也の話題になってふてたのは見抜かれそうになった想いをごまかすためだったが、その行動は逆に、彼に対して特別な感情があるという肯定を生んでいたのだから。 「いつからなの?」 「えっと…七月の半ばぐらいだから、三週間くらい前?」 「そっか」 瀬名の顔に柔らかな笑みが浮かんだ。
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