絆か、償いか。

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「今まで出来なかったけど…これからはお姉ちゃんとそういう話もいっぱいしたいなって、思って…」 漫画やアニメやゲームを話題にするのも楽しいけれど。 ずっとずっと出来なかった女の子同士の話。 扉の向こうに封じた恋愛主体のトークは、長い禁忌からようやく解放の日を迎えたようだ。 「…うん、しよ。いっぱいしよう。 ありがとう、沙那…」 いつしか瀬名の瞳には水粒が浮かんでいた。 沙那からの意を決した申し入れと、自分のために一生懸命になってくれる姿がたまらなく嬉しくて、愛しくて。 瀬名は沙那に飛び付き、そのままぎゅっと抱き締める。 後ろに倒れそうになったところを床に片手をついて堪えた沙那は、宙に浮いたもう片方の手をぎこちなく瀬名の背中に回す。 感情と表情が一致しないのが定番の彼女だが、今この時ばかりは目頭を熱くさせ、思いの丈を真っ直ぐに述べていた。 「ずっと意地張ってたから…私が言い辛い雰囲気作っちゃってたから、ゴメン」 「ううん」 「それに、お姉ちゃんの時は怒ったクセに自分は彼氏出来たの言わなくて…ゴメン」 「いいよ。沙那は言わなかったんじゃなくて、言えなかったんだよ…仕方ないよ」 自分達はそこまで言い合える関係を築いてこなかったのだから、片側だけの責任じゃない。 隠蔽しようとした訳じゃなく、きっと何度も告白しようと挑んだはず。 気持ちの整理と場の空気と相手の状況と、全てのタイミングが揃わなければ言い出せないものだ。
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