伝えたい、真意と真実。【前編】

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事も無げに飄々と言ってのける津田とは対照的に、瀬名は言葉を詰まらせ、頬は更に赤みが増していく。 一方的に見たツーショットで、あれほど酷く落胆し自信を失っていたのに。 津田の言葉で瞬く間に心の棘がほぐれていく自分は、なんて現金なんだろう、と瀬名は思う。 (私…やっぱり……) 第三者からの報告に気分が急激に高揚するのを自覚しながら、今にも湯気がたちそうな頭を抱える。 と、北川さん、と津田の呼び掛ける声に瀬名はハッと顔を上げた。 「は、はいっ」 「たかが友人の一人なのに、ついお節介の度が過ぎちゃって。 北川さんの気持ちも聞いてないうちに、あれこれ喋っちゃってごめんね」 「いえ、そんな…」 「水上にも余計なお世話だって怒られちゃうかなー。 とりあえず、僕が言えるのはここまで。あとは、北川さんが水上に伝えたい事を伝える番だから」 そう告げると、車は徐々に減速し、ぴたりと止むエンジン音。 車道からそれたどこかに車が停められた事に気付いて、瀬名が窓を眺めると、 「さぁ、着いたよ。行こうか」 津田が明朗な声を上げてシートベルトを外した。
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