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(今頃気付くなんて。
でも伝えなきゃ…私の想いを。
どちらにも―――)
瀬名は手中の携帯を開いて、気遣ってくれた感謝のメールをあやのへと送信した。
(どちらも、きちんと会って話さなくちゃ)
浮かぶのは、二人の男性の影。
一人は会社で確実に顔を合わすけれど、仕事以外に話が出来る時間を作るべきだ。
もう一人は、しばらく会っていない状態が続いている。
かれこれ一週間、着信もメールも無い。
こちらからアクションを起こした方がいいのだろうか―――。
そんな思案を巡らせながら、携帯の画面右上の、現在の時刻“14:02”の表示が目に入る。
「えっ!!もう二時っ?!」
瀬名は勢いよく飛び起きるとリビングへと向かった。
土曜日の今日、沙那は仕事で不在のようだ。
(私、いつまで寝て…)
朝方まで眠れなかった上、連日の多忙で体が休息を求めていたのかもしれない。
自分の勤務先が週休二日制である事に、瀬名は胸を撫で下ろした。
そして無人のリビングを抜け、渇いた喉を潤そうとキッチンの冷蔵庫を開けてみる。
空っぽじゃん…と彼女の口からは溜め息と同時に呟きが漏れた。
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