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「大丈夫だよ。昨日連絡したら、割と良くなったって言ってたから。
明日にはもう仕事戻るんじゃないかなー」
「そうですか、良かった…」
安堵する瀬名の顔を覗き込んで津田はふっと笑う。
「でも、心配?」
「…はい、ご飯とか。ちゃんと食べたのかなって。自分のを作る事を面倒臭がる人だって、さっき仰ってましたし」
「そうだねー。
ところで北川さん、水上の家は行った事あるの?」
「…?いえ、ないです。実はどの辺りに住んでるのかすら、全然知らなくて…」
突然振られた質問に瀬名が素直に答えると、向かい合う津田はグッドアイデアとばかりに。
「じゃあさ、家、行ってみる?お見舞いってことで」
「―――えっ!!」
突然の提案に、小さな店内に響き渡ってしまう程の声を上げた瀬名は、
あ、う、でも…と遠慮がちに俯いた。
“水上さんに会いたい”
“水上さんの家を知りたい”
その欲求は確かに沸き起こっているけれど。
(どんな顔して会えばいいの…?)
先日の、駅の構内を女性と二人きりで居る現場を見てしまったせいで生まれる躊躇い。
「でも津田さん、まだ勤務中じゃあ…」
「んー、僕の事は気にしなくていいよー。今の時間はバイトの子に任せてるし、水上の家に行くぐらいだったらディナータイムは余裕で間に合うし。
どうする?行く?」
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