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(え…八つ当たり?されてる!?
星也さんが?する方じゃなくて?)
若干失礼な疑惑を抱きつつ、彼がした質問と八つ当たりの原因という二つの繋がりが分からずに、瀬名はきょとんと首を傾げた。
「付き合う、付き合わないは勝手にすればいいし、そもそも俺が関与すべき事じゃないんだがな」
そう前置きして、組んでいた腕を崩し前屈みで頬杖をつく。
「…北川。男嫌いの妹には、彼氏の存在を報告してるのか?」
「いえ、それはまだ…」
「だろうな。妹が報告を受けてきちんと納得してたとしたら、あそこまで理不尽な怒りを俺にぶつけられる意味が分からん」
溜め息とともに、星也の眉間に皺が刻まれる。
「……あ、あのー、まさか、八つ当たりの犯人って…」
「北川の妹だ」
「……え、え?!ええっ!!」
瀬名の顔が驚愕の色に変わり、悲鳴にも近い声が室内に響き渡る。
と同時に、立ち上がった勢いで彼女が腰掛けていた椅子が大きな音を立てて倒れた。
「何やってんだ」
「わわ、すみません!」
呆れ顔の星也の視線を受けながら、慌てて椅子を起こす瀬名。
その最中も、頭の中を無数の疑問点が浮かんでは駆け巡る。
(私と水上さんが付き合う事になって、どうして沙那が怒ってるの?
その怒りを星也さんにぶつけてるって事?
っていうか、沙那が星也さんを毛嫌いしてるのは知ってるけど…八つ当たり出来るような関係なの?)
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