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「はぁ~…」
パタパタと縁側にたなびく洗濯物を干し終え空狐は肩を回した。
神殿に戻ってきて夫婦神として認められはしたものの、自分の未発達な体から夕王が空狐には手を出すことはなかった。
仮面夫婦か、とかそんな問題ではないのだろうけれど、これから何千年…もしかしたら何万年も共にしていく夕王が自分を見捨てはしないかということが悩みである。
人より発達が遅いのか初潮も経験しておらず空狐は若干拗ねているかのように日々の家事をこなしていた。
夕王は相変わらず山を駆け回り、最近では野菜もちゃんと作っているようである。
最近のご飯が多少なりとも豪勢になったのは暮らしが安定したからであろう。
「空狐、昼餉ができたぞ」
「今いきますね」
洗濯物籠を抱えた空狐に夕王が声をかけた。
たまに夕王に料理や家事を教えると、不器用な夕王も何とかできるようになってしまった。
というより、させた。
たまに、料理を作ったりしてくれるのは空狐にとってはとてもうれしい限りだ。
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