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(…俺の悩みと似通ってないか…?)
お互いの職場の、異性の存在が気になって仕方がない。
一日の多くを占有する仕事という時間に、空間を共有し、業務内容を共有する。
それが時に立場を越えたアプローチに繋がりかねないのでは、と危惧している。
―――そうだ。
きっと、自分達には会話が足りてない。
会話をして、本音を晒して、もっとお互いを信頼し合わなければ駄目なんだ。
余計な詮索など必要ないくらいに。
言わずとも思いを汲み取ってあげられるというのは幻想で。
少しずつお互いを知ればいいと、分かった風に大人の発言をしたところで、彼女の見えない部分に憂慮していては本末転倒だ。
必要なのは、彼女を抱きたいという盲目的な願望や勢いじゃない。
信頼関係が根底に築かれている事。
それが無ければ、どれだけ肌を重ねたって、心も絆も空虚なだけなのに―――。
大事にすべき人を大事にする。
そう決めたのは自分自身だったと、水上は思い起こす。
やがて迎えるは朝礼の時刻。
主任である水上がフロアに号令を落とすと、他の社員が彼の周りに集い始めた。
そこに居る誰もが、本心では早い帰宅を望んでいただろう。
(瀬名、君に早く会いたい。
会って、たくさん話がしたい…)
その中でも一段と強く願っていたのは、出勤前に別れたばかりの彼女へ思いを馳せる水上であった。
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