伝説

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「見つけた奴には報酬があるってさ。報酬額は3億! 一生遊んで暮らせるだろ!?」 「マジかよ!?それはうまい話だよな! なぁ、姉ちゃんもそう思うだろ?」 そう言って酔った男は、隣に座っている女の肩に、手を置いた。 女は、男の言葉に何も返さずに、黙って酒を呑んでいる。 …若い女であった。 艶やかな白髪を腰まで伸ばし、漆黒のマントに身を包んだ女。 …とても美しい女であった。 そんな彼女を見、酔った男は「ゲヘへ」と下品な笑い声をあげる。 「なぁ、姉ちゃん、綺麗な顔してんじゃねーか。どうだ?今夜ー」 【ゾクッ】 男はそこで口をつぐむ。 男は女を見て、背中に一瞬悪寒が走るのを覚えていた。 …女のその【眼】を見て。 グレーの瞳が、男を強く睨みつけていた。 その眼はまるで、【肉食獣】のようで。 男は自分がこの【獣】に身を引き裂かれてしまうかのような錯覚に陥ってしまった。image=479649205.jpg
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