伝説

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だが、それもほんの一瞬で。 女はすぐに男から眼をそらすと、カウンターに金を置き、立ち上がる。 そして、再び男逹を見ると、フッ。と笑ってこう言った。 「…人魚は獰猛だ。せいぜい深追いして殺されないよう 気をつけるんだな。」 そう言うと、女は、ひらりとマントを翻し、酒場から立ち去って行った。 「何なんだあいつはよー。なぁ、シバ。」 意味深な言葉を残して行った女を不思議がる相棒に 、男は何も答える事が出来なかった…。 今だに、まるで金縛りにでもあったように、男はそこから動けずにいた。
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