第四話

4/9

109人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
朝、目が覚めれば君の寝顔にまた頬が緩むのを感じた 心の中で、おはようと呟いて ゆっくりと布団から出る ************** 「山崎、入れ」 声をかける前に、襖を開いた土方さんに心の臓が一瞬跳ね上がった。 「失礼します」 「あぁ、ご苦労 随分、いい夢を見たようだなぁ」 嫌な汗が吹き出るのを感じる己に苦笑いしかでぇへん ニヤリと口角をあげる土方さんに頭を垂れる 見られてたんか・・・・ 「昨日のことですが」 話題を変えるために、昨日の件を報告する 芹沢が大阪力士と揉め、力士を殺し こちら側も、負傷者をだしたことだ あいつにはやられた 同行していた沖田や斉藤を含む幹部たちでさえ 止めることはできなかったとか 奉行所の判断は力士らに問題があるとされ 50両の詫びをいれられるとか 揉めた理由は、力士がどかなかったからだと聞いたが、幼稚すぎて話にならん 「あいつが言っていた"生かせ"とはなぜだと思う」 「利用価値があるのでは・・・」 「ちげぇねぇ だが、はっきり言って邪魔でしかねぇ存在だ」 たしかに、無理な金策が最近は大胆になってきてる だが、その金策のおかげで飯が食えてるのも事実 「俺は、気が長ぇ人じゃねぇんだ さっさと食わねぇと、こっちが食われる そうは思わねぇか?」 たしかに頷ける話だ 実際、わいらがどんなに動き京を護ろうが京の民からは恐れられ嫌われている 芹沢派の行動のせいでや それは、分かりきっている事実 「あいつは何者だ 分かってきたんじゃねぇのか」 土方さんの問いに一瞬、昨夜のハクの顔が脳を過ぎった 「てめぇの主に忠誠を誓ったんだよなぁ 信頼してるんだぜ?俺ぁ」 「簡潔に申し上げます あの娘は、この時代の人間ではないかと」 「実に面白い話だなぁ、そりゃぁ」 「先の世で、この組織のことが残されており 私たちのことを知っているのでは あの娘を、どうするのですか」 「そりゃあ、決まってる この組織のために利用するんだ」 "利用"という言葉に、眉に皺が寄るのが分かる 頭を下げているから、土方さんからは表情は見えないだろう 「山崎にしか言ってねぇはずだ つまり、てめぇには自分を出せるってことだろ? あいつは、山崎 お前次第で仏にも閻魔にもなるだろうよ」
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加