第四話

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文久3年 7月 ハクが来てから3つの月が経った 実際、この壬生浪士組が結成されて4つの月が経った ハクはもう、わいらの仲間や 見てるだけで分かる 皆ハクを大切に想い ハクも皆を大切に想っている 隊士と喋る生き生きとしたハクの表情に頬が緩んだ 「山崎殿」 ふいに名を呼ばれ後ろを振り向けば斉藤 一が立っていた 「はい、どうかなされました?」 「いや、あんたが珍しく表情を出しているから恐ろしくてな」 「どういう意味ですか」 恐ろしいってなんやねん 斉藤のほうが、表情なんか変わらんやろ 「いや、一つ言いたいことがあってな」 どことなく影が見える物言いに体勢を斉藤に向けた 「ハクのことだが、貰うぞ」 「・・・・はい?」 「私は、あいつに心を奪われた だが、山崎殿もそうなのだろう 故に、一つ断っておこうと思ってな」 いつもに比べて饒舌な斉藤に驚いた 宣戦布告ちゅーことか? 「わいのモンやないで まぁ、やれるもんならやってみぃ」 口角を上げてそう言ってみれば 一瞬、ほんの一瞬だけ 目を開く斉藤に口角がつりあがる 「ふっ・・・・ 山崎殿の喋り初めて聞けた」 それだけ言って、軽く頭を垂れた斉藤は音もなく廊下を歩いていく おもろいことになってきた ハクは綺麗や 分け隔てなく愛想もいい 仕事も頑張ってるみたいやし 誰かしら、惚れてしまうんやないか思ってたけど まさか、斉藤だとはな・・・・ 的が外れたか 沖田や藤堂あたりが頭出すと思ってたけど 斉藤だなんて厄介や 少しハクを見やり、攘夷志士らの情報集めに外にでた
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