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とある一夜、土方に呼び出され頭をいつもの風景が土方のへやに見えていた
紫煙を弄ぶ切れ長の眼をした男に
頭を垂れる男
向かい合う二人の間には何の空気が流れているのだろうか
ゆらゆらと揺れる蝋の火が妖しく揺れ動く
「どうだ」
「は・・・、否でした」
「・・そうか
なんでだと思う」
「外に出るのが怖いのではないかと
それに」
そこで言葉をとぎらせる頭を垂れたままの男に
鋭い眼が光った
「言え」
「ハクが言っておりました
『私と同じ人間がいるかもしれないと』」
「ぁ? 同じ人間とは未来からきた人間か?」
「はい、自分がこの時代に来ている
他にも同じ人がいる可能性がないとも言えない・・・と」
「ほう、そりゃあ食えねぇ話だなぁ」
言葉とは裏腹に口角がゆっくりと釣り上がっていく
「で、山崎
どうしたい?」
「私は、外に出してやりたいと思っています。」
「なら、出そう
あいつが、なんと言おうがな」
「有難きお言葉」
「だが、護衛はつける
自由に一人歩かせるわけにいかねぇ
幹部 2名以上だ」
「はっ・・・」
「用心深いことに損はねぇ
あいつに着物でも買ってやれよ」
そう言って、巾着を投げる
垂れている頭を、さらに下にさげ
男は、礼を述べた
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