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「深愛ちゃん、どうしたの?」
「きゃぁ!!」
後ろから名前を呼ばれて、飛び上がらんばかりに驚いた。
涙目で振り返ればお姉ちゃんがいた。
「驚かしちゃってごめんね」
「お、お姉ちゃん」
肩の力がするすると抜けていく。
安心して息をついた。
「非常階段を下りていたら、慌てて走っていく深愛ちゃんが見えたから……何かあったの?」
こちらを心配そうに眺めるお姉ちゃんを見ていたら、話したいって思った。
でも、何を話したらいいのかわからない。
頭の中は真っ白だった。
整理のつかない頭を持て余して、仕方なくぽつりと零した。
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