225人が本棚に入れています
本棚に追加
「深愛さん?」
オフィスから声を掛けられびくりと肩が震えた。
振り返らなくても声で分かった。
足音が近づいてくる。
「深愛さんだよね、こんなところでどうしたの? もしかして俺に用?」
ゆっくりと視線をずらせば斉藤さんが笑顔で立っていた。
「…………」
ダメだ。
震えちゃって、上手く答えられない。
「ちょっと話あるんだけど、少し時間貰える?」
ぽんと肩に手を置かれた。
背筋がゾワッとして、咄嗟に嫌だって感じてしまう。
そのまま肩を抱かれて、廊下を歩いていく。
突き当たりの部屋は会議室だ。
斉藤さんはその扉を開くとわたしを中に押し込めた。
無情にも扉が閉められる。
最初のコメントを投稿しよう!