第7話 決戦はバレンタイン

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 ――三日前。  やっちゃんに言われた後、乃木さんに話を聞きに行った。  彼女は随分話すのを躊躇ったけれど、わたしの真剣さについに折れて話してくれた。 「斉藤さんが深愛さんの悪口を言ってたの……ごめんなさい、気を悪くしないで。  開発以外の部署の女の子には斉藤さんって人気があるんだけど、本当はあの人って性格悪いの。  って、わたしから聞いたって絶対言わないでね! 開発の女の子って人数少ないから、斉藤さんの噂が洩れたらすぐ目をつけられちゃうもの。あの人、情報網だけはすごいから」 「そうだったんですね」  斉藤さんに悪口を言われていたと知って、傷つかなかったと言えば嘘になる。  でも同時に納得もした。  だからまるで告白が心に響かなかったんだって。  とはいえ、斉藤さんがそんな人だったなんて。  悪口の内容までは聞く勇気がなかった。
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