序章

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ゆっくりとまつ毛を震わせた女性は、気だるそうな動きで虚ろな瞳を細めて微笑む。 「望みは何かしら?」 と、美声が問う。 その声は、高くもなく低くもなく、耳に心地よい声音であった。 だが、ひどく弱々しい。 「なんだって、叶えてさしあげる。それに見合う対価を差し出せば……どんな望みでも願いでも」 言いながら女性はひどく美しい所作で立ち上がり、一度少女に視線を落とした。 ふっと息を吸って視線を上げ言う。 「ここは魔屋(まや)。 願いを持つモノの、想いを叶えるお店」
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