sunset orangeB

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良(りょう)さんすいません。 眉間のシワシワの動きが面白くて、ついついちょっかいをかけてしまっただけで、 ホントに悪気は全くないんです。 私、隣に誰かが居てくれる今のこの生活が嬉しくて、ちょっと調子にのってふざけてました。 老化とか心にも無い事を口走ったのも、 単純に何も着てない良さんの身体を目にしたら、何かさっきの事思い出して照れ臭かっただけというか、 はい。 良さんは、全然、全く老化してません。 失礼千万で申し訳ありませんでした。 ただ…………。 「そんなあんぽんたんを選んだのは主任なんで、まあここは一つ穏便に……」 「なるか、ばーか」 脳天に炸裂するチョップは勿論そんなに痛くない。 仁王様みたいな厳つい目だって笑ってる。 いいな、こういうの。 無言の乾杯が寂しくないのは、今の私には無言じゃない乾杯がすぐそばにあるから。 そんな胸の内側がほんのりあったかくなる幸せを―――― あの頃の私はまだ知らなかった。 『瓶づめ夕やけ』 sunset orange B【了】
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