1155人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ
良(りょう)さんすいません。
眉間のシワシワの動きが面白くて、ついついちょっかいをかけてしまっただけで、
ホントに悪気は全くないんです。
私、隣に誰かが居てくれる今のこの生活が嬉しくて、ちょっと調子にのってふざけてました。
老化とか心にも無い事を口走ったのも、
単純に何も着てない良さんの身体を目にしたら、何かさっきの事思い出して照れ臭かっただけというか、
はい。
良さんは、全然、全く老化してません。
失礼千万で申し訳ありませんでした。
ただ…………。
「そんなあんぽんたんを選んだのは主任なんで、まあここは一つ穏便に……」
「なるか、ばーか」
脳天に炸裂するチョップは勿論そんなに痛くない。
仁王様みたいな厳つい目だって笑ってる。
いいな、こういうの。
無言の乾杯が寂しくないのは、今の私には無言じゃない乾杯がすぐそばにあるから。
そんな胸の内側がほんのりあったかくなる幸せを――――
あの頃の私はまだ知らなかった。
『瓶づめ夕やけ』
sunset orange B【了】
最初のコメントを投稿しよう!