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帰り道。
数時間前より格段に車の減った県道は、時折すれ違う対向車の明かりだけが唯一の光源。
黒の絵の具を流し込んだみたいな暗闇は、昼間なら茶色い土の広がる田畑だけど、日もとっぷり暮れたこんな時間には色みは皆無だ。
午後23時16分から、午後23時17分へ。
カーナビゲーションの端で控えめに表示されてる数字が、また一つ明日に近付く。
静か過ぎる車内。
古江さんの車は元々ハイブリッドだから、いつもと一緒といえば、いつもと一緒なんだけど……。
敢えてジッと見た運転席。
けれど、彼は真っ直ぐ正面を向いたまま、チラリとも此方を見ない。
…………。
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