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急に黙り込んでしまった私に、瞬は心配そうな顔で顔をのぞき込んできた。
「小春、俺にくらい頼ってもいいんだぞ? お前の悪いクセだ、いつもそうやって一人で抱え込む」
「あのね瞬、本当に平気なんだって。ウジウジしつこいなぁ、まったく」
そんな物言いに、まあいつものことだなと諦めた様子の瞬。
「そうか……。なら俺はそろそろ行くが、秀人先生の言い付け通り、ちゃんと安静にしているんだぞ」
「うん、分かってる。無闇やたらに出歩かないから」
さっきも中庭へ散歩していたところを、瞬に見つかって叱られたばかりだった。
本当に心配性なんだから、大丈夫だっつーの。
尚も不安げに見つめてくる瞬は、他にも何か言いたそうだったけど、
「ほら、もう早く行って」
シッシッと私の方から追いたてて、何も言わずに病室を出ていった。
そして、幼馴染みが帰ったもののやっぱり何だか手持ち無沙汰で……。
話し相手が本当は欲しかったけど、あんなに心配されると逆にこっちが気を遣ってしまう。中庭にだって散歩しに行きたいけど、叱られちゃったし、それに傷がまだ塞ぎきれていないから少し痛むし。
暇を持て余している私は結局、何か本でも読もうと置いてあった雑誌を開いた。
“恋のお悩みQ&A!”
“これで彼の心を鷲掴み!?”
とかなんとか銘打ってるティーン雑誌。
彼の心って、心臓鷲掴みにすりゃいいのに。
内心そんなことを思いながら、雑誌のページを無造作にめくっていると───
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