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「そうだ、明日少し付き合ってよ」
「どうしたよ? 明日藩を抜けるんじゃなかったのか?」
「動ける内に行っておきたい所がある」
「あー? 俺だってなぁ、そんなに暇じゃないんだからな」
「さっき任せろって言ったよね? 君の連れの元に行く」
小春が居た輪違屋には、まだ小春の所持品が残っている筈だ。特に意味が無いといえば嘘になるが、僕は単純にそれを引き取りたいと思った。
「うのに責任があるって問い詰めても意味無いぞ」
「問い詰めるつもりは無いよ。小春が持っていた荷物を引き取りたいだけだ」
もしかしたら小春の部屋に、居場所に繋がる手掛かりが何かあったりするのかもしれない。
部屋に所持品が残っているか残っていないかでもまた見方が変わってくる。全て持ち去られているとしたら今回の小春を連れ去った件が綿密に計画されたものである可能性が高いし、荷物がそのままであれば偶然であった可能性が高い。
どちらにせよ、一刻も早く、些細なことでも良いから手掛かりが欲しい。
「そうかよ。ならしょうがねぇな、それぐらいは付き合ってやるよ」
「助かるよ」
「但し駄賃は貰う」
「分かった、拳骨一発分だね」
「じょ、冗談だってばよ! 悪かった!」
軽い気持ちで冗談を言うものでは無い。本気にしてしまうではないか。先程の一発といい、晋作は流石に懲りたのかそれからは冗談を言ってこなかった。
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