2708人が本棚に入れています
本棚に追加
/441ページ
「それくらい自分で何とか──」
パシンッ!
「ってぇ。何しやがる」
「最低! クズ! 人間のゴミ! スケコマシ!」
「す、スケコマシ!?」
「行くよお小夜さん! こんなやつ頼ったって無駄!」
そう言って強引にお小夜さんを連れていった。
「こ、小春さんっ」
「お小夜さんどうして、あの人に話しても何もしてくれなかったって言ってたのになんでまた」
「だ、だって、最後だけでも──」
「え?」
「いえ、何でもないです……」
その後のお小夜さんの顔は、今にもため息が聞こえてきそうなくらいに俯いていた。それにしても、土方さんがあそこまでクズだとは思わなかった。
何の関係もない人間に八つ当たりとかするけども、どうしてあっさりとあんな風に酷いことが言えるんだろう。その神経が信じられない。
炊事場に戻ってだし巻き玉子を作りながら、あんなに言われて大丈夫かなぁと様子を見ていたけれど、普段のお小夜さんに戻ったようで、少しだけ安心した。
夕餉の準備が終わり、配膳も済ませて隊士たちが広間に集まってきていた。「いただきます」という声が響き、それぞれが食事を始めたようだった。
最初のコメントを投稿しよう!