だし巻き玉子事件。

15/22

2708人が本棚に入れています
本棚に追加
/441ページ
「本当にすみません。実は──」 今回の仕返しの件を洗いざらい話した。最初は「なんてことするの!」と怒られたけど、理由を話すと納得してくれた。 「本当に土方さんのことについては、ここにいる全員何も知らないんです!」 「そうね。色々とおかしな所があるわ。三人の隊士達の症状と土方さんの症状が全く違うってこともね」 三人組の隊士たちはきっと、前にも高杉さんと入江さんで見たことがあるようにゾンビ化したはずだ。 だけど土方さんの、泡を吹いて気絶してしまったということについては、やはり何かの毒が原因なんだと思う。 「蝶ちゃん! 副長なんとか意識戻ったで! 症状が軽かったみたいや──」 そこへ山崎さんが慌てた様子で走って来て、私を見つけた途端、物凄い睨みつけてきた。 「ほんで、下手人は見つかったんやろな?」 「すーちゃんええ加減にしい。小春ちゃんは下手人やない」 「今聞いとったけど、件のだし巻き玉子作ったいうのもあいつなんやろ?」 完全に疑われてる……。 そこへ沖田さんや一さんまで、やって来た。 二人ともやはり料理に問題があるんじゃないかと、冷ややかな目で女中さん達や私を見てくる。 そういえば沖田さん! 確か土方さんのお膳にだし巻き玉子加えたいって言ってたはず。もしかしたらまたイタズラで、何かと入れ替えてたりして……。 「沖田さん! もしかして、土方さんのだし巻き玉子に何かしました?」 「え? 私は何もしていませんよ。小春さん言ったじゃないですか、やめといた方がいいって」 「そうだった……」 「おいお前、他人に罪擦り付けるつもりなんか! ええ根性しとるな、ああ!?」 「すーちゃん!!」
/441ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2708人が本棚に入れています
本棚に追加