一の章

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――王の前に立ち塞がるならば、か。 「お前は何か知っているのか?」 呟きながら淡い光を放つ結晶にそっと指先で触れると、耳元を擽るように微かな風が過って行き、イアスを驚かせた。 ――本当に、本物らしいな……。 父は一体、どうやって入手したのだろうか。 僅かに乱れた暗い色味の金髪を撫でつつ、今更ながらイアスは疑問に思い始める。 しかし彼を護る風も、その問いには答えてくれそうになかった――。
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