序の章

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戦乱の時代に築かれた、町を護る為の城壁だ。 「……人間の振りをしなきゃ駄目なのね」 「暫くの辛抱だ。俺も約束は守ろう」 幾つかの条件と引き換えに、ある望みを叶えるという約束は、近い内に実現できそうだった。 それがどのような象で現れるかは、俺にもまだ解らんが。 目指す町は、もう眼の前。 近付く程に懐かしい記憶を呼び起こす情景に、何とも複雑なものが心中を掠めたが、それもすぐに掻き消えた。 流れた年月が、そうさせたのだろう。 瞑目し気を引き締めると、リュビスの肩を抱き寄せながら門へと伸びる街道へ向かった――。
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